調査報告:南山舎
調査実施日時
2024年2月28日(火)14:00〜15:00
調査先情報
名称:南山舎
住所:石垣市登野城88-1
ホームページ:https://www.jaima-mark.net/
調査参加者
畑中寛(琉球大学)、大石尚子(龍谷大学)新川達郎(Colpu)、富野暉一郎(Colpu)、宮本文(Colpu)、坂本未希(Colpu)
概要
・会社の歴史と創業
創業者は、進学を機に東京に上京し出版会社に就職したが、東京からUターン。八重山の日常生活や文化を記録し、継承していくことを目刺した。そこで、八重山に関するさまざまなデータや情報を定期刊行誌の形式に取り入れた出版物を作ることになった。当初は、地域の情報を提供し、八重山の本質をとらえることに重点を置いていた。
・地域の文化と伝統を守る
出版の目的は、八重山の地域文化、伝統、方言を保存し、記録することであった。これには、絶滅の危機に瀕している八重山方言に関する書籍の出版、沖縄戦のような歴史的出来事の個人的な記録、伝統的な祭りや慣習の記録、研究者や地元の専門家との協力などが含まれる。同社は、八重山のこうした側面を捉え、後世に伝えていくことの重要性を出版を通じて訴えている。
・出版業界の課題
出版業界が直面している課題として、特に紙媒体の読者数の減少やデジタル変革の必要性が挙げられた。同社は、より多くの読者にリーチするため、デジタル・プラットフォーム、ビデオ・コンテンツ、ハイブリッド・モデルなどを取り入れるなど、適応する方法を模索している。さらに、新たな住民や企業の流入による地域社会のダイナミクスの変化も、同社のコンテンツやアプローチに影響を与える要因として挙げられている。
・観光と環境問題
観光が八重山に与える影響、特にクルーズ船の流入、タクシーやレンタカーの不足といった課題についても触れられた。持続可能な観光を推進し、オーバーツーリズムや環境保全などの問題に取り組む上での八重山の役割は大きい。八重山が世界自然遺産に指定され、保護と観光を両立させる必要性が強調されている。
・今後の計画とデジタルトランスフォーメーション
デジタルのプレゼンス強化、動画コンテンツや広告の取り込み、印刷物とデジタルのプラットフォームを組み合わせたハイブリッドモデルの模索など、デジタル変革に向けた同社の計画について探った。同社は、八重山の文化遺産を守り、広めるというコミットメントを維持しながら、トレンドや消費者の嗜好の変化に対応する必要性を認識している。
行動項目
デジタル・プレゼンスの強化、動画コンテンツや広告の取り込み、印刷物とデジタル・プラットフォームを組み合わせたハイブリッド・モデルの開発など、デジタル・トランスフォーメーション戦略を検討し、実施する。
地元の専門家、研究者、地域住民と協力し、八重山固有の文化遺産、伝統、方言の記録と保存を継続する。
出版物やコラボレーションを通じて情報を提供し、持続可能な観光の実践を促進することにより、オーバーツーリズムや、特にクルーズ船からの観光客の流入がもたらす課題に対処する。
観光客の増加により喫緊の課題となっている八重山のタクシーやレンタカーの不足を解決するための戦略を検討し、実施する。
八重山の個人的な記録、歴史的な出来事、伝統的な慣習を捉えた作品の出版を継続し、これらの貴重な記録を確実に後世に残す。
特に八重山方言や郷土史に関連した出版物を教育資料として活用するため、教育機関や団体との提携や協力を模索する。
備考
https://www.jaima-mark.net/SHOP/67479/list.html
https://okipa.jp/features/feature-list-02/nanzansha-2202/