調査報告:Denmark Technology University, SKYLAB

調査実施日時

2025年8月13日

調査先情報

名称:Denmark Technology University, SKYLAB

住所:Centrifugevej 374, 2800 Kongens Lyngby, デンマーク

ホームページ:https://www.skylab.dtu.dk

調査参加者

服部圭郎(龍谷大学)、新川達郎(一般財団法人地域公共人材開発機構)

概要

デンマーク工科大学のスカイラボは、デンマーク工科大学のイノベーションと起業家精神の拠点である。ここでは、様々な分野の技術と才能が融合し、起業家精神と融合することで、コミュニティに関わるすべての人々にとって、独自の学習とイノベーションの文化が生まれている。

事業概要(起業の経緯)

イノベーション工学をデザインすることが組織の目的である。私は、この組織のリーダーである。人類的課題、発展途上国の課題を解決することを意図している。SKYLABは起業家マインドとイノベーションを醸成させるための組織である。その組織の目的は次のように掲げられている。
「Creating a world-class innovation hub that excels in transforming ideas and inventions into
impactful solutions while fostering an entrepreneurial mindset and the competencies needed
for future innovation」
「世界的なレベルでのイノベーション・ハブをつくること。それはアイデアを具体化させ、発明を社会的に影響ある解決を導くことに秀でている。さらに、起業家マインドを醸成させ、将来のイノベーションに必要な能力を養う」

扱う社会課題とその背景

大学でイノベーション・コースは4年前にできた。イノベーションは工学ではとても重要であり、36の学科がすべてこの講義を受講して、単位をとらなくてはいけないようにしている。イノベーション技術を教えている。学科は1年間で3回、提供される(クォーター制)。学生数は12000人(このコースはSKYLABで提供されている訳ではない)。

重要なのはデザインとイノベーションを融合させること。どうやってイノベーション・プロセスをつくっていくか、ということを学ぶ。イノベーションのアイデアのある学生にとっては、ここはそれを実践するうえでは非常に貴重な機会を提供している。理論ではなく、実践で学ぶことができる。技術者は技術面にばかり関心がいき、人間の面を忘れがち。しかし、実際の問題は人間が起こす場合が多い。

解決方法や解決アプローチ

SKYLABは学生のためのイノベーション・ハブとしてつくられたが、現在は研究者のイノベーション・ハブとして使われている。イノベーションは考え方。イノベーションはシミュレーションである。スカイラブは8の学部から21のコースが提供されており、それを履修している学生数は2329人である。

SKYLABのメンバーは2024人。企業数は46である。399の起業家を支援しており、毎年120人の起業家がここから巣立っている。そのうち33%が女性が代表である。年間の訪問者は20万人である。24時間、ここは開いている。ただ、ワークショップは夜の10時から朝の6時まで閉まっている。ただ、この時間にこのラブを使っている人数は7326人。

事業の革新性

イベントとしてオープン・イノベーション・プログラムを一年に一回開催している。また、ミニスプリントというものも実施している。前者はコペンハーゲン・ビジネス・スクール、コパンハーゲン大学と協働でやっているもので、120人ぐらいの学生が参画する。これまでのお題としては「すべての人のモビリティを考える」「構造材としてのコンクリートのサーキュラー・システムを考える」などが提起された。技術は、より多様な人のためにデザインされたら、その価値をさらに高める。そのような人間との接点を追求することがソーシャル・イノベーションであると考えている。

後者は学生と起業家が一日だけタッグになって、協働してアイデアをSKYLABにて具体化するというイベントである。一日という限定された時間ないで、サステイナビリティの問題を解決するアイデアとプロトタイプをSKYLABの機材や設備でつくってしまうというイベントである。これは、就職活動的な意味合いも含まれており、将来、論文のためのプロジェクトのヒントを見つけたり、インターンシップや将来的な協働者のネットワークの構築といった側面も有している。

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