調査報告:Lahti University of Applied Science

調査実施日時

2025年8月12日

調査先情報

名称:Lahti University of Applied Science

住所:Mukkulankatu 19, 15210 Lahti, Finland

ホームページ:https://lab.fi/en

調査参加者

服部圭郎(龍谷大学)、新川達郎(一般財団法人地域公共人材開発機構)

概要

ラハティ応用大学のイーバ・アーレヴァーラ教授に、フィンランドのソーシャル・イノベーション事情を取材した。フィンランドのソーシャル・イノベーションの具体的なプログラムを調べる前に、そもそもソーシャル・イノベーションを進めるマクロ環境としてのフィンランドの事情を知ることが必要だと考えたからである。

事業概要(起業の経緯)

ソーシャル・イノベーションに関しては、他の大学との連携はあまりしていない。ダブル・ディグリーのプログラムはない。ちょっと前まではロシアとの大学ではあったが、現在ではそのようなことをするのは不可能である。ラハティ応用大学は、学部と修士のカリキュラムを提供していて、博士を出すことはできない。

ソーシャル・イノベーションに関しては環境省から補助金をもらっている。これは、現在、COOP(生協)が衰退しているので、それについての課題を検討している。コミュニティの自治力を高めるために、より参加と協働ができるように大学も入って地元のコミュニティと共に取り組んでいる。重要なのは事業の持続性を高める支援者、サポーターを育成すること。

扱う社会課題とその背景

フィンランドは農業国。第二次世界大戦以降に工業化が始まった。西側の領土がソ連に取られたので、そこに住んでいた多くの人が移ってきた。フィンランドの農地は小さい。工業化は雇用を創出するという社会的責任もあった。

都市では市民参加が始まった。これはより重要である。50年前に比べると農村の人口は減っている。都市化は今でも進んでいる。自治体の問題解決能力は地方にいくほど深刻だ。地元住民と市役所の対立が激しくなっている。大都市だと問題解決能力は高いが、問題は複雑だ。

10年以上前から、住民とコミュニケーションをするインターアクション・プラナー(Interaction planner)を雇うようにしている。それを通じて、市民の情報を収集するようになっている。環境面、都市デザインなどで仕事を御願いしている。社会的サステイナビリティは高まっている。

解決方法や解決アプローチ

ラハティは春に、市域内で何か改善するような点の意見を募る。その結果、チェリー・パークができたりした。10000ユーロが上限だが、それによって事業が実施できている。ラハティは4地区に分かれていて、1地区ごとに決められる。議論をして、その後、投票がある。投票はウェブサイトでされる。高齢者はフィンランドもウェブサイトは使うのが苦手である。地元の薬屋がその点は協力してくれた。しかしウェブサイトはハードルだ。そのために無料で、カウンセリングを提供している。デジタル・スキルを高めるようなカウンセリングだ。

若い人達は、デジタル・ディヴァイスでお金を儲けている。これは、ソーシャル・イノベーション的な事業である。例えば、チャイニーズ・テーブルというアプリが非常に人気であるが、これはマーケティングとデジタル・ディヴァイスとの協働によって生まれた。

ラハティ応用大学にあるリヴィング・ラブ(Living Lab)はソーシャル・イノベーションのプラットフォームで企業と自治体とを結ぶ。サーキュラー・エコノミーを進めたい企業は。どうやってプロセスを進めていくか。そのような実験をする機会をリヴィング・ラブは提供することができる。

都市計画的な面で大学が関与したケースでは、ある企業がある場所に太陽光パネルを建設したいと考えた。地主は地代をもらえるのでハッピーである。しかし、その場所の周りの住民が反対運動をして、事業は座礁している。こういう問題をどのように解決するかは、大学の大きな使命である。自治体だけでは難しいので、大学が協働する。そういうことがある。

事業の革新性

フィンランドでは問題があったら解決する。それは条件反射に近い。ラハティは欧州環境都市に指定されたこともあり、廃棄物管理には力をいれている。また、ラハティ・エネルギー公社では、エネルギー源として石炭を使うのをやめてガスに移行した。ヘルシンキはまだ石炭を使っている。サーキュラー・エコノミーには力を入れており、ラハティ応用科学大学では地域に責任をもたなくてはならないので、その大学の運営のあり方もサーキュラー・エコノミーを基盤としている。そして、言葉で表現するよりかは実践をすることが重要ということで、大学は積極的にサーキュラー・エコノミーの考えを採り入れている。

その他

ラハティリビングラボの特筆すべき点は、持続可能性とデジタル化のあらゆる側面に焦点を当てた、公共および民間セクターのイノベーションと開発のイノベーションプロセスにユーザーを統合することです。この目的のために、ユーザーとプロの開発者の間で知識の創造と活用を完全に可能にする方法とツールが開発され、研究されています。ユーザーを関与させ活性化させる方法は様々であり、出会いはオンラインだけでなく対面でも行われます。ラハティリビングラボの特筆すべき点は、持続可能性とデジタル化のあらゆる側面に焦点を当てた、公共および民間セクターのイノベーションと開発のイノベーションプロセスにユーザーを統合することです。この目的のために、ユーザーとプロの開発者の間で知識の創造と活用を完全に可能にする方法とツールが開発され、研究されています。ユーザーを関与させ活性化させる方法は様々であり、出会いはオンラインだけでなく対面でも行われます。ラハティリビングラボは、ユーザーが積極的な共同制作者であるなど、共通の指名者を持つ研究開発プロジェクトを通じて実施されます。業務分野:
•​​ 循環型経済
• 教育および/または職業訓練
• 環境/気候変動
• 健康と福祉
• モビリティ
• 政策
• 研究
• 農村地域
• 社会イノベーションとインクルージョン

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