調査報告:株式会社とくし丸
調査実施日時
2024年3月12日(火)10:00〜13:00
調査先情報
名称:株式会社とくし丸
住所:〒770-0846 徳島市南内町1丁目65-1 リバーフロント南内町3階
ホームページ:www.tokushimaru.jp
調査参加者
大石尚子(龍谷大学)
概要
・事業概要
スーパーの超大型化&郊外化、近所のスーパーの撤退等により、全国で増加する「買い物難民(買い物困難者)」を支援することを目的に、軽トラックに生鮮食品から日用品まで積み込んで玄関先まで届ける「移動スーパー」を展開している。個人事業主としてスーパーと提携した「販売パートナー」が、週2〜3回、各自で提携スーパーで利用者のニーズにあった品物を購入し、それぞれ決まったルートを回って販売する。一人3〜4ルートを担当する。エリアごとにマネージャーを配置して、販売パートナーと提携スーパー間の調整や利用者のクレーム対応などを行う。
2012年に住友氏が立ち上げた。全国に規模拡大するために、2020年にオイシックス・ラ・大地に経営権を譲渡し、住友氏は新たに高齢者向け情報誌の出版事業を展開している。
現在移動スーパーは1171台、47都道府県で活躍する。
・起業の経緯
徳島阿南高専で機械工学科卒、学生時代はずっと遊んでいたが、機械には関心があった。
卒業して渡米し、人種差別を経験する。この時期に勉強せずに色々やったことが活きている。
身内の不幸もあり、帰国。その後、その当時なかったタウン誌を手がけた。
もともとジャーナリズムに関心があったが、原発問題に出会い、反原発の立場から、四国電力の広告掲載拒否という行動をとった。吉野川の公共事業阻止のために住民投票にこぎつけた経験がある。その際に、地元の政治的圧力や経済界からの厳しい締め付けを経験し、権力に流されずにやりたいことをするには、誰にも頼らない自立的経営が重要と考える。
軌道に乗った出版業は部下に譲り、当時増えつつあった「買い物難民」問題解決のビジネスモデルを着想し、起業にいたる。
・新奇性・革新性
社会ニーズを先取りしたビジネスモデル
ただ商品が届くのではなく、利用者は自分で手に取って選び、会話を交わすことができ、日常の喜びを与えている。
販売パートナーは、利用者の御用聞の役割も果たす。各利用者の好みを把握し、それぞれの嗜好に合わせて商品選びをする。
見守り機能があること。体調の異変や、買い物に出てこない場合の声かけなど、孤独死の防止にもつながっている。
販売パートナーと利用者との間には信頼関係が生まれるとともに、買い物に集まる利用者の間でコミュニティが形成され、高齢者の暮らしに活気を与えている。
・今後の展望
現在、高齢者むけの情報誌を出版している。馬はタブー視されているが、今後問題となっていくであろう高齢者の性の問題に取り組んでいる。
・社会的起業家育成に必要な要素
とにかく実践に身を置くこと。それしかない。
社会情勢を見極め、今はあまり注目されていなくても、今後課題となってくる問題にアプローチすること。入念な事前の市場調査によって、真実を掴み、真のニーズは何かを掴むこと。
備考
https://www.tokushimaru.jp/about/
https://www.tokushimaru.jp/gusu/